人は行動を起こす前、その行動に対する意図(動機)が先に生じる。
例えば、「外科医がナイフを持って手術をするときの意図」と「ナイフを持って人を殺めようとするときの意図」はまったく異なる。
前者は人を助けようという意図が働いており、後者は逆に人を殺そうという意図が働いている。
従って、似たような行動であっても、意図が真逆のことも大いにあり得る。それによって生じる結果もまったく異なるものとなる。これを因果律またはカルマの法則と言います。
自分の意図を観察せよ
『スッタニパータ』の中で、ブッダは「自分の意図を観察し、それが他者や自分にどのように影響するのかを考えるべきである」と説いています。
ブッダはまた「不適切な意図は、不適切な行動となり、それは苦をもたらす」とも説いています。逆に適切な意図を持つことは苦を滅することにつながり、それが精神的な成長・成熟へと導いていくことになります。
それでは、このブッダの説いた真理をカイロプラクターに当てはめてみましょう。
カイロプラクターへの進言
私たちカイロプラクターは、日々患者さんの苦に向き合っています。一人一人の患者さんを治療する前、自分の心に生じている意図に注意を払っているでしょうか?
「患者さんの苦しみを少しでも改善できるように」という意図で治療をしているのと、「さっさと治療を終わらせて早く家に帰りたい」という意図を持ちながら治療をしているのとでは、大きな違いです。
もちろん、患者さんにはその意図は直接伝わっていないでしょう。しかし、無意識の領域でその意図を感じ取っているかもしれません。
しかし、ブッダが説いたように、意図の違いによって結果は大きく変わってきます。どのような形でそれが現れてくるかはわかりません。
一番、わかりやすいのは、自分自身の心に現れる結果です。善い意図をもって治療をしている場合、必ず善い結果が心に生じています。また、その逆も然りです。
意図の力
このように、私たちの心の意図は、それ自体が力をもち、私たちの現実を形作る大きな要素となるのです。したがって、日々の生活や行動において、自分自身の意図を常に観察することが重要だと言えるでしょう。
意図は自らの意思で選ぶことができます。意図を選ぶことで、私たちはより心を成長させることができるのです。
客観力を育てる方法