カイロプラクティックと整体の違いは何ですか?

「カイロプラクティックと整体は何が違うのですか?」

これは、私(榊原直樹)が30年以上カイロプラクターとして働いてきて、過去に幾度となく聞かれた質問です。

カイロプラクティックは、アメリカ生まれの手技による治療法です。一方、整体は中国を起源としており、東洋医学的な哲学をベースにして発展した手技療法です。

本記事ではカイロプラクティックと整体の違いについて、さらに深掘りして解説していきます。

カイロプラクティックとは何か?

カイロプラクティックの意味は

カイロプラクティックは英語のスペルでChiropracticと表記します。これはChiroとPracticを合わせてできた造語です。Chiroは「手」、PracticはPractice、つまり「施術」を意味しています。従って、カイロプラクティックの意味は「手技療法」ということになります。

アメリカでのカイロプラクティックの歴史

カイロプラクティックの起源はおよそ130年前のアメリカに遡ります。

D.D.パーマーは、磁気療法を使って治療を行っていました。その過程で、「神経の流れが滞ること」が体調不調の原因ではないかと、彼は疑念を抱くようになります。

その後、背骨がずれることで神経の流れを阻害し、それが病気を引き起こすという考えに至りました。つまり、背骨のズレを調整することで体調不調が改善すると主張したのです。

そして、D.D. パーマーの息子であるB.J.パーマーが、解剖学や生理学などの医学をベースとした薬に頼らない手技療法(カイロプラクティック)を確立しました。

B.J. パーマーは1897年に世界で最初のカイロプラクティック学校(現パーマーカレッジオブカイロプラクティック、イリノイ州)を設立し、カイロプラクターの育成を開始しました。

カイロプラクティックと整体の違い
B.J.パーマー

カイロプラクティックの治療哲学

神経系の機能

D.D. パーマーは、「身体の不調は、神経系の機能不全が原因である」と考えていました。彼は、サブラクセーション(背骨のズレ)によって神経系の流れが阻害され、様々な体調不調(関節の痛みや痺れ、内臓疾患)の原因になる主張したのです。

つまり、サブラクセーションを正すことが、神経系の機能を改善させ、自然治癒力を引き出すというのが、カイロプラクティックの治療哲学の根本になっています。

サブラクセーション理論

D.D. パーマーは、サブラクセーション(脊椎のズレ)が神経の圧迫を引き起こし、健康を損なうと考えました。サブラクセーション理論は、カイロプラクティックの中心的な治療哲学となっています。

従って、カイロプラクターはサブラクセーションを改善させるこを治療の第一目的としています。

自然治癒力

D.D. パーマーは、サブラクセーションを除去することで、神経系の機能が正常化し、自然治癒力が働き始めると考えました。

つまり、カイロプラクティックの治療は、背骨のアジャスメント(カイロプラクターが使う手技)により、サブラクセーションを除去することを主目的としています。

整体とは何か?

整体は東洋医学をベースにして発展してきた徒手療法です。東洋医学の起源は中国です。中国の鍼灸や漢方医学、推拿(すいな)などの哲学が融合したものが整体として発展しました。

整体の治療哲学のベースは「気の流れ」です。つまり、身体の不調の原因を「気の流れ」が滞っていると考えるため、整体の治療は気の流れを整えることが目的としています。

推拿は手によって筋肉や関節の状態を整えていく手技療法です。指圧やストレッチなどにより、気の流れを促進することを目的としています。中国では病院に「推拿科」があり、医療行為として国に認められています。特に慢性疾患(腰痛、肩こり、内臓の不調、生理不順など)に対して、推拿が適用されることが多いです。

整体では何をするのか

整体は、この呼び名が示す通り、「体を整える」ことを目的としています。先述したように、整体師は「気を整える」ことが「体を整える」ことにつながると考えています。

具体的には、体の歪み(骨格・関節の歪みや筋肉の凝り)をマッサージや指圧などにより改善させていきます。特定のツボ(経穴)を指圧により刺激することで、体を流れる気が整い、痛みなどの不調を改善させていきます。

このように、「気の流れ」の考え方は、整体の施術において中心的哲学となっています。整体の治療により滞っている気の流れを改善することで、体調不良を改善させることができると整体師は考えています。

整体は日本でどのように発展したか?

日本の整体は、古代中国の手技療法を起源にしています。その後、様々な手技療法を取り入れながら現在の整体が出来上がりました。

日本では明治期以降に整体が広まりました。第二次世界大戦後、整体師の野口晴哉が整体操法という治療法を開発しました。それが、現在の日本の整体の大元になっていると言われています。

現在日本では、身体の痛みや不調を改善させるための手段として、整体は多くの人に活用されています。

カイロプラクティックと整体の違い

カイロプラクティックと整体は、どちらも手技療法を用いる点では共通しています。しかし、その起源や哲学には明確な違いがあります。

カイロプラクティックはアメリカを起源とする、西洋医学をベースとする手技療法です。D.D.パーマーによるサブラクセーション理論に基づき、背骨の調整(アジャスメント)を通じて神経系の機能不全を改善し、自然治癒力を引き出すことを目的としています。

一方、整体は東洋医学の流れを汲む中国起源の徒手療法であり、「気の流れ」を重視しています。整体は体の歪みを整え、気の流れを促進することによって体調不良を改善しようとします。

このように、それぞれ異なる哲学に基づいているため、カイロプラクティックは神経調整を、整体は気の調整を中心としたアプローチをとるのが特徴です。

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