カイロプラクティックは英語のスペルでは、”Chiropractic”となります。これは、”Chiro”と”Practic”の2つの単語（ギリシャ語）で作った合成語です。
それぞれ、日本語では「手」と「施術」の意味を持ちます。つまり、Chirooractic（カイロプラクティック）とは、手による施術、手技を意味します。
カイロプラクティックの始まり
カイロプラクティックは130年前のアメリカで再発見されました。D.D. パーマーが創始者と言われています。
D.D. パーマーは、「神経の流れが阻害されることが病気の根源である」という考えを持っていました。つまり、彼は神経の流れを改善させることが、病気を改善させる方法であるという信念を持っていました。
神経には大きく分けて中枢神経と末梢神経があります。末梢神経の中に脊髄神経がありますが、全ての脊髄神経は背骨の間から出て、手足の先へと走行しています。D.D. パーマーが提唱する「神経の流れの阻害」は、脊髄神経の出口（椎間孔）で起こると考えました。
つまり、背骨がズレることで脊髄神経が圧迫され、対応する領域（筋肉や内蔵など）に異常が現れるということです。
これはサブラクセーション理論と呼ばれおり、現代のカイロプラクターの間でももっとも重要な概念となっています。
アメリカでカイロプラクティックが法制化
D.D. パーマーによって提唱されたサブラクセーション理論によって、アメリカのカイロプラクティックが法制化されました。
1913年にオクラホマ州でカイロプラクティックが合法化したのが、アメリカでのカイロプラクティック法制化の始まりです。
その後、他の州でも法制化が進み、1974年にルイジアナ州でカイロプラクティックが法制化されたことで、全米でカイロプラクティックの法制化が完了しました。
サブラクセーション理論の現在
このように、サブラクセーション理論は、カイロプラクティックの法制化にとって大切な概念であったわけですが、現在はサブラクセーション理論の科学的根拠を疑問視するカイロプラクターもいます。
彼らは、従来のサブラクセーション理論に加え、より科学的（エビデンスベース）なアプローチ法を加えた治療を行っています。
彼らのようなカイロプラクターをミックスカイロプラクター（mixed chiropractor）と呼んでいます。
ミックスカイロプラクターは、カイロプラクティックの治療手技（アジャスメント）だけではなく、他の徒手療法や運動療法、栄養指導など多角的なアプローチ法で症状改善を試みます。
一方、従来のサブラクセーション理論に基づく治療（アジャスメント）のみにこだわるカイロプラクターも依然として存在します。彼らのようなカイロプラクターのことを、ストレートカイロプラクターと呼んでいます。
ストレートカイロプラクターは、「背骨のズレ（サブラクセーション）をアジャスメントにより解消することで、全ての体調不良は改善する」という概念の元、患者の症状改善を試みます。
徒手療法大学で教えている治療法
徒手療法大学では、ミックスカイロプラクティックの考え方でカリキュラムを組んでいます。
身体に現れる痛みや痺れなどの異常の原因は、背骨のズレ（サブラクセーション）が原因のこともありますが、それ以外の原因のこともあるという考え方です。
症状をいろいろなアングルから多角的に観察・分析し、その原因構造を特定していきます。原因構造とは、筋肉（腱、靱帯、関節包）、神経、関節の3つの構造のことを指します。
従って、上記3つの構造の異常を改善させるための治療テクニック（手技）を学んでいきます。もちろん、そのベースにあるのが、解剖学や運動学、病理学などの基礎医学の知識です。
徒手療法大学では、背骨のズレに限らず、痛みや異常の原因を広く分析し、多角的な治療を提供するミックスカイロプラクティックの考え方に基づいた教育が行われています。
