カイロプラクターの年収の比較

カイロプラクティックは、主に欧米諸国において、人々の健康維持と改善に貢献する医療分野として認識されています。

近年、補完代替医療(CAM)への関心が高まる中で、カイロプラクティックは、薬や手術に頼らない自然な治療法として注目を集めています。

本記事では、日本とアメリカにおけるカイロプラクター(ドクターオブカイロプラクティック)の年収を比較し、詳細な分析を行っています。

この比較分析は、カイロプラクティック学校への入学を検討している方々にとって、有益な情報を提供することが期待されます。

日本のカイロプラクターの年収

日本のカイロプラクターの平均年収についてですが、雇用形態によって差があります。

正社員として働くカイロプラクターの平均年収は、2024年から2025年のデータに基づくと、およそ384万円から387万円程度であると報告されています。

この数値は、複数の求人情報サイトの給与ナビゲーションに基づいたものであり、日本のカイロプラクターの平均的な収入水準を示唆しています。

また別のソースによれば、正社員のカイロプラクターの年収は300万円から400万円の範囲にあるとする報告もあります。カイロプラクターとしての経験や働いている地域、雇用形態の違いなどによって差が生じていると考えられます。

年収の範囲とその影響要因を見ると、地域やスキルによって年収には大きな幅があり、600万円台に達するケースもあります。

これは、特定の地域での需要の高さや、高度な技術を持つカイロプラクターに対する評価が収入に反映されるためと考えられます。

求人ボックスのデータによると、正社員の給与分布は333万円から370万円の水準に集中しています。

全体の給与幅は297万円から587万円と比較的小さく、勤務先や経験、求められるスキルによる差はアメリカと比較すると少ない傾向が見られます。

地域別のカイロプラクターの平均年収

地域別の平均年収を見ると、東京都が419万円、大阪府が434万円と高い水準にある一方、茨城県では354万円と低い傾向にあります。

この地域差は、それぞれの地域の経済状況や物価水準、カイロプラクティックに対する需要の違いなどが影響していると考えられます。

大都市圏では、生活費が高い一方で、より多くの患者を獲得する機会があり、それが収入に反映されている可能性があります。

独立開業しているカイロプラクターの平均年収

雇用形態による収入の違いも重要です。正社員として働く場合、比較的安定した収入を得られますが、独立開業した場合には、年収が1000万円を超えることも珍しくありません。

しかし、独立開業には初期投資や経営の知識が必要であり、成功するかどうかは個々の経営手腕に大きく左右されます。

開業初期の年収は一般的に300万円から600万円程度とされ、開業5年から10年の中堅経営者では700万円から1200万円程度、長年の経験と評判を持つベテラン経営者では1500万円から2000万円以上になることもあります。

契約社員やパートタイムのカイロプラクターの収入傾向を見ると、契約社員の月収は20万円から50万円程度、パートタイムでは月収16万円から40万円程度と報告されています。

これらの雇用形態は、柔軟な働き方を求める方にとって選択肢となりますが、収入はフルタイムの正社員や独立開業と比較して低い傾向にあります。

医療従事者による平均年収の違い

関連する職種との比較も参考になります。柔道整復師は国家資格であり、平均年収は443.3万円と、カイロプラクターよりもやや高い水準にあります。

また、あん摩マッサージ指圧師も国家資格であり、平均年収は370万円から400万円程度と、カイロプラクターと大きな差は見られません。

これらのデータから、国家資格の有無が収入に一定の影響を与えている可能性が示唆されます。

アメリカのカイロプラクターの年収

情報源によるカイロプラクターの年収の違い

アメリカのカイロプラクターの年収は、複数の情報源から様々なデータが報告されており、その平均値には幅が見られます。

米国労働統計局(BLS)の2024年5月のデータによると、カイロプラクターの年収の中央値は79,000ドルです。

これは、収入分布の中央に位置する値であり、業界全体の平均的な収入水準を示す指標となります。

一方、ZipRecruiterの2025年4月のデータでは、アメリカのカイロプラクターの平均年収は85,646ドルと報告されています。

Salary.comの2025年5月のデータでは、平均年収は212,555ドルと、他の情報源と比較して非常に高い数値が示されています。

Natural HealersがBLSのデータに基づいて報告している中央値も79,000ドルであり、Chiropractic Economicsによる自己申告の平均年収は113,142ドルとなっています。

これらの数値の差異は、各情報源のデータ収集方法や対象とする範囲の違いによるものと考えられます。

アメリカのカイロプラクターの平均年収分布

収入の分布を見ると、BLSの2024年5月のデータでは、10パーセンタイルが44,780ドル、25パーセンタイルが59,320ドル、中央値が79,000ドル、75パーセンタイルが104,000ドル、90パーセンタイルが149,990ドルとなっており 、アメリカのカイロプラクターの収入には大きなばらつきがあることがわかります。

ZipRecruiterの2025年4月のデータでは、年収範囲は41,000ドルから110,000ドルで、大部分が76,500ドルから93,500ドルの間に集中しています。

Salary.comの2025年5月のデータでは、年収範囲は191,666ドルから226,460ドルで、多くが172,648ドルから239,120ドルの間に位置しています。

これらの分布からも、情報源によって収入の評価が大きく異なることが示唆されます。

カイロプラクターとしての経験年数による収入の違い

経験と専門分野による収入の違いを見ると、Salary.comのデータでは、経験年数が増えるにつれて年収も増加する傾向が見られ、経験8年以上のカイロプラクターの平均年収は約217,121ドルに達しています。

また、顧客基盤を築き、開業医やパートナーになることで収入が増加する可能性が指摘されています。

専門分野については、スポーツ、神経学、栄養学などが挙げられていますが、具体的な収入データは限られています。

しかし、専門性を持つことで、より高い需要と収入につながる可能性は考えられます。

地域別カイロプラクターの年収の違い

地理的な場所も収入に大きな影響を与えます。BLSの2023年5月のデータによると、アラスカ州の平均年収は134,020ドル、アーカンソー州は110,110ドル、ネバダ州は107,920ドル、ニュージャージー州は102,500ドル、オクラホマ州は103,330ドルと高い一方、イリノイ州は69,480ドル、ワイオミング州は62,530ドルと低い水準にあります。

ZipRecruiterのデータでも、ワシントンD.C.、ニューヨーク州、マサチューセッツ州などが高い平均年収を示しています。

Salary.comのデータでは、カリフォルニア州のサンフランシスコが265,460ドル、ニューヨーク州のニューヨーク市が246,330ドル、マサチューセッツ州のボストンが237,063ドルと、都市レベルで見るとさらに高い平均年収が報告されています。

これらの地域差は、生活費、需要、市場の飽和度などの要因によって生じると考えられます。

雇用形態による収入の違いも顕著です。自営業のカイロプラクターや開業医は、高い収入を得る可能性があります(一部では100万ドルを超える例も)。

しかし、これはビジネスの成功、患者数、経営手腕に大きく依存します。アソシエイトドクター(勤務医)の給与は、30,000ドルから100,000ドル以上と幅広く、雇用条件や給与体系(固定給、歩合制)によって大きく異なります。

BLSのデータでは、業界別の平均年収として、その他の医療従事者のオフィスが89,130ドル、外来医療センターが101,660ドル、一般医療・外科病院が125,870ドルと報告されており、勤務する施設の種類も収入に影響を与えることがわかります。

カイロプラクターの年収の比較分析

日本とアメリカのカイロプラクターの平均年収の比較

日本とアメリカのカイロプラクターの平均年収を直接比較するために、2024年から2025年5月現在の為替レート、1ドル=155円で換算してみます。

項目 日本(円) アメリカ(ドル) アメリカ(円換算)
平均年収(日本の情報源) 約385万円 約24,838ドル 約385万円
平均年収(BLS中央値) 79,000ドル 約1224.5万円
平均年収(ZipRecruiter) 85,646ドル 約1327.5万円
平均年収(Salary.com) 212,555ドル 約3294.6万円
平均年収(Chiropractic Economics) 113,142ドル 約1753.7万円

この表から明らかなように、アメリカのカイロプラクターの平均年収は、日本のカイロプラクターの平均年収を大幅に上回る水準にあると言えます。

ただし、アメリカの平均年収には情報源によって大きなばらつきが見られるため、解釈には注意が必要です。BLSの中央値やZipRecruiterの平均値は、Salary.comの数値よりも保守的な比較を示しています。

年収の範囲を比較すると、アメリカの年収範囲(BLSのパーセンタイルに基づくと約40,000ドルから150,000ドル以上)は、日本(正社員で約300万円から600万円以上、開業医ではさらに高額の可能性あり)よりもかなり広いと考えられます。

この違いは、アメリカのカイロプラクティック市場がより多様化しており、高い実績や専門性を持つカイロプラクターに対してより高い報酬が支払われる傾向があることを示唆している可能性があります。

名古屋とアメリカ各都市との生活費の違い

生活費の影響を考慮すると、日本の名古屋の生活費は、シアトルやハートフォードといったアメリカの主要都市と比較して一般的に低いことが示唆されています。

名古屋の生活費はニューヨークやロンドンよりも大幅に低いと直接比較されています。したがって、アメリカのカイロプラクターは名目収入が高いものの、特に高収入が報告されている大都市圏では生活費も高くなる可能性があり、実質的な収入差は名目上の差よりも小さくなるかもしれません。

医療制度と規制の役割も考慮する必要があります。アメリカでは、カイロプラクティックサービスに対する保険適用が日本よりも進んでおり、それが需要と収入を押し上げていると考えられます。

一方、日本ではカイロプラクターに対する国家資格制度が存在しないのに対し、アメリカでは、認定されたカイロプラクティック大学の卒業、国家試験および州試験の合格が義務付けられています。

このような規制の違いが、アメリカにおけるカイロプラクターの専門的な認識と価値を高め、結果的に収入差につながっている可能性も考えられます。

結論

本記事では、日本とアメリカのカイロプラクターの年収を比較分析しました。

アメリカのカイロプラクターの平均年収は、日本のカイロプラクターの平均年収を名目上大きく上回ることが明らかになりました。

しかし、アメリカの年収データには情報源によるばらつきが大きく、解釈には注意が必要です。

日米の生活費の違いを考慮すると、実質的な収入差は名目上の差よりも縮小する可能性があります。

経験、地域、雇用形態、医療制度、規制といった要因が、両国のカイロプラクターの収入水準に影響を与えていると考えられます。

両国ともに、独立開業することで高い収入を得るチャンスがありますが、それには相応のビジネスリスクと経営手腕が求められます。

カイロプラクティック学校への入学を検討する際には、名目収入だけでなく、生活費、キャリア環境、専門職としての認知度など、総合的な要因を考慮することが重要と言えるでしょう。

項目 日本(平均) アメリカ(平均)
年収(USD換算、概算) 約24,838ドル 約79,000ドル~約212,555ドル
収入範囲(USD換算、概算) 約19,355ドル~約37,419ドル(正社員) 約41,000ドル~約149,990ドル(BLSデータ)
国家資格制度 なし あり
保険適用 限定的 より一般的
生活費(主要都市比較) 相対的に低い 相対的に高い
  • 日本のカイロプラクターの平均年収は約385万円(300万〜400万円程度)、地域や経験により差がある。
  • 正社員の平均年収は約384万〜387万円、求人サイトによるとおよそ333万〜370万円の範囲に集中。
  • 地域差では、東京都や大阪府で高く、茨城県や地方では低い傾向。
  • 独立開業のカイロプラクターの年収は初期300万〜600万円、中堅700万〜1200万円、経験豊富なベテランは1500万〜2000万円超も可能。
  • 契約社員やパートタイムの収入は月20万〜50万円、16万〜40万円。
  • 柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師の平均年収は、それぞれ約443万円、370万円〜400万円。
  • アメリカのカイロプラクターの年収中央値は約79,000ドル(約1,220万円)、ZipRecruiterの平均は85,646ドル、Salary.comの平均は212,555ドル。
  • アメリカでは、経験や地域により年収に大きな差があり、20万ドル超の高収入も可能。
  • アメリカの多くの高収入地域は、都市や州によって異なるが、規制や医療保険制度の差も影響。
  • 生活費の比較では、名古屋の生活費は米国主要都市より低く、実質的な収入差は小さくなる可能性。
  • アメリカでは、カイロプラクティックが国家資格制度と保険適用の普及により認知と価値が高い。
  • 日本では資格制度がなく、規制の違いが収入や認知度に影響。
  • 両国とも、独立開業により高収入のチャンスがあるが、リスクや経営能力が必要。
  • 結論:アメリカの方が名目上の年収は高いが、生活費や制度を考慮すると実質的な差は縮小。入学時には総合的な要因を考慮することが重要。

 

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