適応の可否鑑別の重要性

カイロプラクティックではあらゆる関節の障害に対して対応可能である。

肋骨も例外ではない。

肋骨は後側で胸椎、前側で胸骨と関節を持っている。

特に問題が起こりやすいのは後側、つまり肋骨と胸椎の間の関節である。ここを肋椎関節と呼ぶ。

肋椎関節は2つの関節によって構成されており、その内の一つが肋横突関節と呼ばれる。

カイロプラクティックでは通常この関節のサブラクセーション(変位)に対してアプローチをしていくのである。

肋骨がずれると、局所的な非常に鋭い痛みが自覚症状として現れる。特に身体の捻り動作や深呼吸で痛みは増悪する。従って、寝返りを打っただけでも激痛であり、QOLを著しく低下させる。

先日、来られた初診の方はまさにこの症状であった。

右肩甲骨下部に局所的な鋭い痛みがあり、それが脇腹まで関連痛が広がっていた。関連痛も針を刺すような痛みであったので、おそらく肋間神経痛あろう。

ここまでの所見から推察できることは、右側第5肋横突関節の変位により肩甲骨下部に局所的な鋭い痛みが現れ、さらに隣接する肋間神経を刺激して関連痛を引き起こしているのであろうということだった。

早速、治療を行い体幹の捻り動作、深呼吸での痛み、さらに脇腹の関連痛はゼロに。

しかし、若干気になることが一点だけあった。それは、腹臥位において患部の関節付近を押圧しその圧迫を緩めた瞬間に激痛が発生することであった。

翌日、もう一度予約をしたいとの連絡を受け、改めて患部をチェックしてみると、昨日の症状(押圧を緩めた後の激痛)がそのまま残っていた。

この時点で疑っていたのは、肋骨の疲労骨折である。

患者さんは当院に来られる前にレントゲン検査を受けて、骨には異状なしの診断を受けていた。しかし、疲労骨折(特に受傷直後)はレントゲンに認められないことが多く、たとえレントゲン検査で異常なしでもその可能性を捨てることはできないのである。

今まで同じ症状を診てきたが、明らかに反応に違和感があり、この時点で疲労骨折の疑いがある以上、徒手的な治療でこの方の症状が改善するとは考えられず、治療をストップした。

治療を続けることも可能であったが、徒労に終わる可能性が高いと判断したのである。

実は以前にも似たようなケースをみたことがあった。その方も背中から脇腹の痛みが主訴で、後々肋骨が骨折していたことが判明したのである。

カイロプラクターは、患者さんの症状をただ診るだけでなく、適応症状であるかどうかの可否を鑑別していく能力も必要なのである。

 

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